私の婚活⑤
友人の結婚式の二次会、
会場は大衆居酒屋だった。
挙式から、新婦側の友人をチェックしていたが、
紹介をお願いしたいと思えるような女性はいなかった。
「太郎君~女の子紹介してあげるよ~、
イイ子いるよ~。」
2次会から参加していた軽音楽部同期の女性が話し掛けてきた。
その女性は25歳で10歳年上の警察官と結婚して、双子の子供がいる。
「あ、マジ?紹介して~」
と返事はしたが、期待はしなかった。
人に紹介された女性が好みのタイプだったことはない。
宴も終盤、
複数の会話が混ざり、
打ち消し合い、
雑音となり、
僕のため息など、誰も聞こえない。
ぼんやりと、
昨日、勤務先で出会った女性のことを思い出していた。
「なぁ、実はさ、昨日、勤務先でカワイイ子がいてさ、ナンパしちゃった。」
軽音楽部でバンドを組んでいた男に話してみた。
「は!早っ!10日前に彼女出て行ったんだろ?」
予想通りのリアクションに笑ってしまった。
ちなみに、彼はギター、私はギターボーカルだった。
その後、
昨日、年甲斐もなく、
職場で若い女性に連絡先を渡した一部始終を話した。
「そうか、まぁ、お前には幸せになってほしいよ。」
その男は、
私の人間関係で最も信頼している男で、
猜疑心の塊のような私でも、
そんな嘘臭い言葉が、
本心であると思えた。
その時、テーブルに置いてあった私の携帯が光った。
昨日出会った、
女性からのメールだった。
私の婚活⑥に続く。